LEDライトと美容効果

LEDライトと美容効果

LEDと言えば、照明器具を思い浮かぶ方も多いと思いますが、最近では美容皮膚科やサロンなどの美肌治療でもLEDが使用されたり、家庭用美顔器も販売されたりしています。そのLEDと美容効果についての特集です。

LEDとはLight Emitting Diodeの英語の略で頭文字をとってそう呼んでいます。
Light=光る、 Emitting=出す、 Diode=ダイオード(電気の流れを一方通行にする電子部品)で、直訳すると、光を放つダイオードで「光る半導体」を意味しています。日本語で発光ダイオードとも呼ばれます。

 

LEDの歴史

・1907年に、イギリスのラウンド(H.J.Round)が、炭素ケイ素結晶に電圧を加えたときに黄色く発光することを発見しました。これが、半導体による発光現象の最初の発見とされています。

 

・1927年には、ソ連(現:ロシア)のローセフが、種々の材料についての発光現象を論文にまとめて世界初のLEDを発表しました。

 

・1962年にニック・ホロニアック氏(アメリカ)が赤色LEDを発明し、「発光ダイオードの父」と呼ばれています。
発明当時は、赤外線LEDと赤色LEDのみだけ発光効率が0.01%という微弱なものでした。のちにそれを改良し高輝度赤色LEDを開発したのは西澤潤一氏(東北大教授)です。

 

・1968年に黄緑色LED、1972年に黄色LED、1985年橙色LEDが開発されました。

 

しかし、青色LEDの開発は技術的に非常に困難で、何十年も悪戦苦闘していました。
LEDで白色光を作るためには、言い換えればすべての発光色を得るためには、光の3原色である「赤」・「緑」・「青」 の3種類が揃う必要がありました。
そして、1993年に中村修二氏(日亜化学工業→現 カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)、天野浩氏(名古屋大学特別教授)と赤﨑勇氏(名古屋大学→現 名城大学教授)によってそれぞれ独立に青色LEDが開発されました。
のちに、中村修二氏、天野浩氏、赤﨑勇氏は、ノーベル物理学賞を受賞されました。
日本人の開発なんですよ。(ご存知の方も多いと思います。)

 

・1995年には純粋な緑色LEDが実用化されました。

 

・1996年には現在のLED照明の原型となる白色LEDが誕生しました。

 

現在では、イルミネーションをはじめ家庭用のLED電球や液晶ディスプレイなどにも使用され、耐久性や省エネ性に優れており、世界で貢献しています。

 

LEDが美容皮膚科学の領域において注目され始めたのは 2004 年以降のことになります。

LEDの美容エビデンス

エビデンス(evidence)とは、「証拠」「根拠」「裏付け」「形跡」といった意味を持つ言葉です。

 

LEDは、光の種類によって肌に対する効果が違うとされており、美容医療で使われているLEDは主に、白色赤色黄色青色の4色です。

 

LEDの色の違いは、波長の違いです。

                見える光 「可視光線」

 

個人差もありますが、「可視光」(目に見える光)の波長範囲は、だいたい360nm~830nmの間とされています。

 

可視光線の波長は、nm(ナノメートル)単位で表されることが多いです。

 

LEDが美容の分野に使用されるようになったのは、LEDの発する光は紫外線を含まないので、人体に有害な波長の光を含まない事から、安全性の面で優れているからです。

 

2007年(平成19年)8月18~19日に行われた第25回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会の発表内容では、「LEDは青色(450nm)から赤色(700nm)までの可視光域で元素の組み合わせによって、様々なピーク波長を発光させることが可能です。
赤色LEDは波長(610~750nm)が長いため、皮膚に照射した場合には真皮の深層まで到達して乾燥肌やシワに有効であると考えられていますが、その詳しい作用機序は明らかではありません。
そのため今回、私たちは正常ヒト線維芽細胞を用いて赤色LEDのアンチエイジング作用に関する医学的エビデンスを検討いたしました。 
その結果,3系統の皮膚由来線維芽細胞において、赤色LED照射が細胞増殖能を有意に亢進させました。」(一部抜粋)と報告がありました。

 

また、2012年(平成24年)6月14日の「可視光の皮膚アンチエイジング効果に関する基礎的研究~~DNA修復能に着目して」の研究発表では、「赤色、黄色、青色LEDが、酸化DNA損傷の細胞修復能、もしくは紫外線性DNA損傷の修復能を高めることが証明された。また、赤色、青色LEDは、ともに細胞増殖能亢進作用ヒアルロン酸産生亢進作用メラニン産生抑制作用を持つことが判明した。
これらの結果は、特に青色、赤色LEDが、シミ・シワ治療に有望であることを示唆する」(一部抜粋)との発表がありました。

 

 

線維芽細胞とは、お肌の真皮に存在し、お肌のハリやつを保つコラーゲンを生成する細胞です。

LEDの効果(メリット)

美容医療で使われているLEDの主な、白色赤色黄色青色の4色について述べてみたいと思います。

●赤色LEDの特徴
赤色LEDは、美容や医療の現場で最も一般的に使用されているLEDです。
波長は610〜780 nmの間で波長が長く、皮膚に照射すると皮膚表面(表皮)のさらに奥にある真皮にまで到達すると言われています。
線維芽細胞の活性化することにより、コラーゲン産生促進させ、肌の弾力アップや乾燥肌やシワにも有効性があると期待されています。
血行を促進して、くすみやクマの改善に期待も出来て、ニキビやニキビ跡の炎症を抑え、表皮の再生を促すといった効果も期待できます。

●青色LEDの特徴
波長は、460~500nmの間で短く、光線力学反応による抗菌作用があり、おもにニキビ治療に用いられています。
皮脂の過剰な分泌などによって、毛穴の出口が塞がり、ニキビの原因になっている毛穴に棲みつく皮脂をエサとするアクネ菌が繁殖しますが、その過程で「ポルフィリン」という物質を産生することが分かっています。
このポルフィンが、紫外線があたることによって活性酸素が発生します。そして、活性酸素により皮脂が酸化し、くすみ・しわ・シミなどの肌トラブルにつながっていきます。
青色LEDは、このポルフィンに作用して、ニキビを改善したり、できにくくする作用があるとされています。また、皮脂の分泌を抑えたり、毛穴を引き締める作用もあるとのことです。

●白色LEDの特徴
美容で使用されている波長は、830nmぐらいで、LEDの中で最も波長が長く、皮膚への到達度が高く、筋肉層まで到達するのが最大の特徴になっています。
脂肪内の代謝機能を高めることでリフトアップ効果が期待できます。
また、筋肉の元になる細胞「筋線維芽細胞」を活性化させ、筋繊維を太く・密度の高いものに変えることが期待されており、LEDダイオードでは難しかった、しわやたるみの改善に効果が見込めるそうです。

●黄色LEDの特徴
波長は、570~590nmの間ぐらいです。肌の炎症を和らげ、細胞の修復を促進させる効果が期待されていて、炎症、日焼け、赤ら顔の症状を緩和し、シミの原因となるメラニンの生成を抑制したり排出し、シミやくすみにも効果が見込めます。
肌が赤くなりやすい敏感肌の方や色白肌の方にもおすすめとの事です。

LEDのデメリット

LEDは、 肌への刺激が少ない光で、紫外線などのダメージを肌に与えることないとされていますが、デメリットはあるのでしょうか?

●即効性はない。
医療用に使用されているのは、IPL(Intense Pulsed Light)と呼ばれる特殊な光線です。フォトフェイシャルと呼ばれています。
これは、強い光のエネルギーを熱に変えてシミやくすみなど肌の治療をするものです。
そう言うことで、LEDは、IPLとは違うものだと言う事になります。
それから、LEDは業務用も家庭用も、同じ波長であればLED光自体には特に変わりはありませんが、業務用のLEDは、LEDライトの数や大きさも、家庭用のと比べもかなり差があります。
機能としての違いはないものの業務用と家庭用では、効果の速さに多少は差は出るようです。
LEDは、肌の表面・肌の奥でじわじわと細胞に働きかけていることが確認されていますが、じわじわと良くなっているもので、劇的な効果は感じられないのです。

●青色光(ブルーライト)による副作用
岐阜薬科大学のマウスを使った実験では、白色と青色のLEDが細胞障害を引き起こす可能性が示唆されています。
また、東北大学大学院の研究チームがLEDの青色光(ブルーライト)を昆虫に照射し続けたところ死に至ったという研究結果もあります。
波長の短さのため、網膜や視細胞を傷つけることも指摘されており、LED照明に含まれる青色光(ブルーライト)による、眼精疲労や睡眠障害などの生体リズムに影響が出る可能が懸念されています。
しかし、長時間の照射を受けた場合の話で、人体への健康被害はほとんど報告されていません。
そのことから、LEDであっても光は直視しないことが大切と思います。

最後に(まとめ)

LEDは、光の種類によって肌に対して期待する効果が違うとされていますが、LEDによる光エステは、日々進化を続けている新しい美容法でもあり、研究も継続してなされています。

 

 

最近、家庭用LED美顔器が発売されていますが、ハンディタイプやマスクタイプやテーブルに置く卓上タイプなどいろんなタイプがあるようです。

 

LEDに限ったことではありませんが、いきなりの長時間使用するとか、光を直視することをしないようにするとか、注意を払いながら気長に使用して頂きたいと思います。